節分の夜は、明け方にかけて冷え込み、翌朝は珍しく雪景色となりました。
そんな寒い夜、皆さんどのように過ごしましたか?

私はと言えば、我が家の年中行事であるカラオケ大会より帰宅し、そのままコタツで寝入ってしまっておりました。
何しろ近所のカラオケ屋は格安で飲み放題。
ウィークエンドなんとかと言うパックでは、ウチで飲むより安いのではないかと思えるほど。
惜しむらくはこの業者が近年、千歳空港の職員用食堂が地に落ちた際の、その張本人だと言うことが残念でならない訳でございます。
元の安くてうまい食堂を返してくれ~~!(魂の叫び)

さて、コタツで寝ていた私は、強烈な打撃音で、文字通り叩き起こされたんですな。
誰かが何かを叩いています。
さらに、この地方特有のなまりのある声が、
「開けてくれ~!」と言うようなニュアンスで響き渡っているんです。

ウチには玄関は、きちんと別にありますよ。
しかし訪問者はなおも、玄関じゃなく通りに面した大きな窓を叩き続けています。
何となく、相手が冷静さを欠いている事が解りまして、窓を割られるかもしれないと恐怖心がわき出しました。
ホントは対応するのもめんどくさいんですが、もはや無視するわけにも行きません。
「誰ですか?!」
私の問いかけに、
「○○に行こうとして転んじゃったんだよ~」
みたいなトンチンカンな答えが返ってくる。

誰か聞いてんじゃないか!
「誰ですか?!」
私はしつこく、冷酷な人間です。
これまでも新聞の勧誘の人には顔を会わさず、お引き取りいただいています。
「○○と言います、助けてください~」
・・なんか困ってるみたいだ。
めんどくさいけど、着の身着のまま木の実ナナ、玄関より飛び出してみよう!

うわー寒い~!
しかし、後で考えると護身用に何か持って出ないと、こういう場合は危険だ。
何か相手の接近を妨げるような武器がいい。
ヌンチャクか三節昆か、投網のような・・そう、投網がいい。
相手を絡めて召し捕るのが理想だ。
相手が何かに追われていたらどうする?
武器になる物は?
ガンタッカーがいいかな?ホチキスのでかいやつ。
自分だったら結構びびるけど、説明しないと解らないかな?
「これはだな!ホッチキスのでかいやつなんだ!勢いよく針を飛ばすんだぜ!」
みたいな。
電動丸鋸はどうだ?あーそうか、バッテリー駆動だとこんな時役立つんだな。
でも駄目だ、本気で危ない・・。
なんて今なら思えますが、この時の私には、そんな思考の余裕なんか持ち合わせちゃおりませんでした。

着の身着のまま木の実ナナ、飛び出した私が目にしたのは・・
バハマ(ウチでは婆さんをこう呼んでいる)だった。
病院から抜け出したか?
深夜の徘徊か?
どれも合っていそうだ。
めんどくさいぞ、こりゃ・・

「どうしたの?」と私
「ここ、○○街道だよね、××商店はこっちだよね?」バハマ
「いや、ここは△△街道、○○街道はあっち、全然違うよ」自分
「転んじゃって歩けないから、送ってくれ(ウチの車を指さす)」バハマ
「・・・・」自分

そうこうしている間に、パトカーがウーウー唸りながら近づいてきますよ?
渡りに船とはこの事だ、バハマを引き渡そう!
手を挙げてパトカーを止める人物、それは自分。
「人捜しですか?」自分
パトカーから降りてくる警察官4人、無線で何か指示している。

「ここ、旦那さんの家?」警官
「この人捜してるんですか?」自分
返事はないがどうやらそんな感じ。

「確保~!」
「自損転倒~!」
「自損転倒~!」
ウ~ウ~!
増えるパトカー。

後は警官に任せ、さっさとウチに戻る自分。
あー、ここらで一軒だけだ、電気ついてるのは。
バハマからすると希望の光だったんだな・・。
さっそく、その希望の光を消し去り、布団に入る自分。
「サンキュー、バハマ、おかげで風邪ひかずに済んだぜ」自分
その後も窓に映る赤色警告灯。
「私はこの近所の人間です!」
シラを切るバハマの声が聞こえる。
ああ、人生いろいろ、バハマも戻りたくないんだろうな。
しかし早く戻った方がいいよ、俺のために。
まぶしい、うるさい、眠れ無いんだよ!

なんか一人の命を救ったのかもしれない、そんな節分の夜。
「自損転倒」って言葉を覚えたよ。